コミナスブログ 子どもの発育と発達

ハイハイ期を逃さないで

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シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。



あなたのお子さんの、運動能力は大丈夫ですか?



結構、走り回っているし、高いところからも飛び降りられるし、

元気に動けているから、大丈夫そうだなと思っていませんか?



私が運動面を評価するとき注意してみていることは、

姿勢・体のバランス・協応動作などがあります。



椅子に座っているとき身体のどこかを揺らしていたり、

すぐに肘をついたり、片側にもたれるように座っていないか。

はさみや食具が上手に使えているか。

体操をして、手足の動きが不自然ではないか。

リズムがとれているか、転びやすくないかなど、

色々な場面で運動機能の未熟さを発見します。


これらの課題を改善するためには、

椅子に正しく座る方法を教えたり意識させたり

はさみの練習を繰り返すというサポートでは、上手くいきません。



この活動に必要な基礎的な機能の発達を促すような

働きかけが必要です。



その基礎となるものは、産まれてから3歳くらいまでの

脳神経が作られる段階で出来上がります。



運動に伴う神経回路が出来上がること、

つまり人の運動発達には、原則があります。



その原則の一つに、

一定の順序で連続的に進む順番を飛ばして運動は発達しない)

首が座り → 寝返りをする → お座りする →

    はいはいする → つかまり立ちつする → 歩く

というものがあります。


それぞれ始める時期は、個人差はありますが

大体の正常範囲内で、この連続性で発達しているか

確認していきます。


大体の範囲内ならば、遅くても不安にならなくても大丈夫です。

(例:ハイハイの開始時期は8か月頃前後が目安)




この部分に異常がなかった場合でも、

運動に課題がおこる原因の一つとして、

この発達の順序に沿った時期の運動を

しっかりと体験できていないことが考えられています。


近年では、住宅事情なども影響するのか、

ずりばいとハイハイの期間が極端に短くなっていることが、

子どもに関わる私たちの中では問題視されています。



ハイハイを経験せずにつかまり立ちをはじめ、

歩き始める赤ちゃんや、

ハイハイをしてもその期間・時間は少ないのです。



早く歩きだしたのを見た時、まずは安心すると同時に、

成長を感じ嬉しくなるものです。



ただ、ここにたどり着くまでの運動をしっかり経験できていない場合

その後に続く運動課題を獲得するための能力が

積み重なっていないために、運動面で支障が起こってきます。




特に、重要な時期は、

運動能力の基礎をつくるハイハイ期といわれています。


なぜなら、ハイハイは身体と脳の発達にとって

非常に大切な動きだからです。



ハイハイで脳へ流入する血流量が増えることによって、

脳神経へ栄養を届け、神経細胞が枝を増やし、脳が発達します。



ここで大事なのは、ハイハイを始めた時期ではなくて

どれだけハイハイを行ったかです。



ハイハイには大きく3種類あります。

①ずりばい

「ほふく前進」のことで、うつ伏せでお腹をつけた状態で、

腕や足で地面を蹴ったり、押したりして前後に進む動作です。

②ひじばい

肘を床につけて進む動作で、左右の肘を交互に動かして前進します。

③高ばい

両手両足を床について移動する四足歩行の動作です。




では、ハイハイの効果を挙げてみましょう。

①脳の活性化

ハイハイをするとき、手を床につきます。

この時、最初は指を曲げた状態になっている赤ちゃんですが、

徐々にしっかりと手のひらを広げて、

床に体重を乗せるようになってきます。



母指球を刺激すること、手全体からの刺激を脳に届ける事で、

手の筋肉は育ち、手先からの脳への神経回路が構築されていきます。



また、見るもの、触りたいものに自分から動いていけるということは、

一気に行動範囲が広がり、好奇心を育て、

多くの刺激を受けるきっかけを作り出します。



②筋力が強く育つ

ハイハイをする時は、膝を股関節よりも上に持っていきます。

この時、赤ちゃんは腸腰筋を使っています。

腸腰筋はどんな体勢でも使う太い筋肉で、

人間は腸腰筋で体のバランスをとっています。

あなたも、やってみてください。

四つん這いになって、さらに前を見るために重い頭を上げる姿勢は結構、

重労働で、首・肩・背筋・腹筋に負担がかかります。

このように、ハイハイは全身の筋肉を使う運動なので、

全身の筋肉を育て筋力を強くする効果があります。



③バランス感覚・反射神経の基礎をつくる

ハイハイは、床を押し蹴るように進むので足の指に力が入ります。


最初のうちは、足の甲だけで、すりすりと進むような感じの子もいます。

その場合は、後ろから大人が手のひらで、

赤ちゃんの足裏を蹴らせるようにサポートをして、

蹴って前へ進む体感を教えたりします。



足の親指の皮が剥けてしまう子どももいるくらい元気な子もいます。



この筋肉が弱いと身長が伸びたときの2・3歳でも

バランスがとれず、転倒することが増えたりします。

体勢が崩れたときに咄嗟に立て直す反射神経の基礎になっています。


④体幹の筋肉を鍛える

四つん這いから前に進もうとすると、手や足を持ち上げた状態になります。

ハイハイは全身運動で全身の筋肉を使うのですが、

とくに体幹が鍛えられます。


体幹というのは、胴体の部分全てを指します。

ハイハイは特に背筋に効果があると言われています。



⑤協応動作の基礎をつくる

協応動作というのは、右手と左手、目と手、手と脚など、

2つの運動を同時に使って、一つの動作・運動を作り上げることです。


この協応動作がうまくいかないと、よく転んだり、

姿勢を維持できずに常にくねくね動いたりといったことが起こります。

もう少し大きくなると、縄跳びを飛ぶ、はさみで紙を切るなどの

動作をスムーズに行うことに必要な機能になります。



このように、ハイハイ期は、その後の身体の動作に必要な基礎の部分が

たくさん含まれている
ことが分かります。

今日のアドバイス

運動機能を育てるには、ハイハイをたくさんする



赤ちゃんが寝がえりをうったり手足を自由に動かせるようになったら

ハイハイ期の始まりです。



危険なことも増えてしまいそうで、目が離せない時期ですね。



だからといって、安全第一で動ける範囲を狭くしてしまう

関わり方はしていませんか?

ハイハイの効用を知ったら、この時期に

動き回れないようにすることの悪影響が分かると思います。



赤ちゃんには、思う存分ハイハイできる環境を用意してあげましょう。

部屋にものが溢れていると、すぐつかまり立ちに移行したりするので

ハイハイ期がはじまったら、周囲の危険なものを取り除き、

楽しく探索できるようにしてあげましょう。


もう、大きくなってハイハイ期は過ぎてしまったという

子どもは今からでも大丈夫。



脳には可塑性があることが分かっています。

リハビリなどでもわかるように脳は育てられます。




雑巾がけや、高這いなど遊びやお手伝いなどを工夫して、

ハイハイを取り入れて運動してみましょう。



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