シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
子どもの発達状態を
不安に感じるきっかけとして
言葉が出ないというのがあります。
なかなか、おしゃべりしてくれない
何を言っているのかわからない
そのような子どもの姿を見ると
やはり心配になってしまいますよね。
ちゃんと、わかってるのかな?
もっと、言葉で伝えてほしいと想うほど、
何か喋らせようとしてしまいたくなります。
何度も見ているはずの物や動物などを
『これは何?』
『これはなーんだ?』
と子どもに言わせようとしてしまっていませんか?
私たち大人から見ると
例えば、りんごをみせされて
『これは何?』と聞かれたら
『りんご』って
答えることなんて簡単と思いますが、
まだ、言葉を話すことができない
言葉を獲得している段階の子どもにとっては
これってとても難しいことなんです。
頭では、[これはりんごだ]と
わかってはいても、
実際に単語として発語するのは
大変なんです。
大人で例えて言えば、
何度かあったことのある人の名前を
『これだーれだ』って
聞かれて、答えられない感じかな?
(確か、〇〇さん?だったような)
(お顔はわかるのよ)
言いたいけど自信がない。
こんな時ってありますよね。
新しい名前を、記憶に定着させるには
繰り返しと時間が必要。
子どもは、それが全てのものがそんな状態。
数回見たからって、
それを言葉で答えるのって
かなりハードルが高いこと。
数回見たから、もうわかっているだろうと
思っていても
『これはなんだ?』と質問するのはまだ早い。
その前に、増やしてほしい関わり方があります。
それは、『〇〇はどれ?』などと
覚えているであろう物の名前を伝えて、
それを子どもが理解できているかを
確認する段階をしっかり行うことです。
さっきの例えでも、
〇〇さんと言う名前と、お顔を覚えていたら
『〇〇さんはどの人?』と質問されたとき
この人かな?って答えやすい感じです。
だいぶ、ハードルが下がりませんか?
この段階が大事なんです。
この段階で、あっているよという
経験を繰り返すことで、
確信して記憶することができます。
改めて、授業のように確認しなくても
日常生活の中で、この語彙の確認の場面は
たくさん取り入れられます。
『いぬはどれかな?』
『ママにトマトをちょうだい』
こんな会話の中で、子どもが示す行動で
その言葉を理解しているかどうか
確認できます。
集団生活の中では、
この確認を個別に丁寧に行うことは重要です。
なぜなら、真似をしてできてしまうことが
あるからです。
『カバンを持ってきてください』って
先生が言ったとします。
みんな、カバンをちゃんと
持ってくることができます。
でも、別の日に、
個別にある子どもに同じことを伝えると
全く違うものを持ってきたり、
持って来れない場合があります。
その子は、いつも周りの子の真似をして
行動していたのです。
実際は、物の名前がわかっていないことが
発覚すると言った例もあります。
ですから、インプットは個別に丁寧に行い、
確認することが大事です。
『いぬはどれかな?』と
質問して、正しく示すことができれば
あっていることをはっきり伝えます。
でも猫を指したとしても
『違うよ』『間違っているよ、こっちでしょ』と
指摘するのは避けましょう。
ついその場で、指摘したくなったり
正しい方を教えたくなってしまいますが
この場合、その場は流してOKです。
まだ、きちんと言葉のインプットが
足りていない状況なので
別の機会を見て、
『これは、いぬだよ』と
はっきりと、再インプットしてあげます。
言葉をインプットするとき
大事なことは
いろんな情報を伝えすぎないことです。
『いぬは、ふわふわした毛が生えているね。
かわいいね。白いね。
わんわんっていうんだよ。』
こんな風に、言葉をいっぱい伝えれば
良いような気がしてしまいますが、
言葉を獲得する時期には、
まずは、『これは、〇〇です』と
はっきり言い切った形で伝えるのがコツです。
言葉を溜め込む時期は、
まず、物と名前を丁寧にわかりやすく
伝えることから始めましょう。
靴をはかせる時も、
黙って履かせてしまうのではなく
『靴を履こうね』『これは〇〇ちゃんの靴だね』
こんな風に、言葉をかけることで
子どもはどんどん単語をインプットしていきます。
そして、時々確認すること。
この段階に時間をかけましょう。
子どもの中で、自分の記憶した言葉と
その物の名前が一致して、
それば、ある程度溜まってくると
子どもはやっと自信を持って、
発語という形でアウトプット
できるようになります。
それまで、話さなくても、
その子の話す時期が来れば話し出すものです。
その子によって、時間がかかったり、
インプットできる量が違ったり
インプットはできるけど、
アウトプットができないという子もいます。
焦って急かして喋らせようとか、
こういうふうに言うんだよって
教えてしまうのは、余計に子どもに
話すことへの楽しさを奪い、
ハードルを上げてしまうことになります。
その子のペースに合わせて、
言葉をつかったコミュニケーションの
可能性を広げていきましょう。