シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです
今、やたらと身の回りを消毒することが
当たり前のようになっていて、
消毒薬が手に入らない状況になっていますね。
日本は、生活環境が清潔に整えられていて、
不衛生な地域に比べ、感染症にかかるリスクはかなり減っています。
命を守るという点での衛生は充分整えられていると思います。
さらに、清潔志向が強まって、
コマーシャルや新型コロナウイルス対策でも
”手洗いをしっかりしましょう”
"除菌しましょう!”といわれれば、
石鹸を泡立てて、1日に何回も手を洗い、
シュッシュッと、スプレーしたり、
除菌シートで、ふきふきするようになります。
看護師の立場からみると、
これが、ちょっと、行き過ぎているのではと心配しています。
たとえば、人間の手。
ここには、20種類以上の『皮膚常在菌』がいます。
この細菌がいてくれることで、皮膚が弱酸性に保たれていて、
病原体は、弱酸性の環境では生きていけないので
この環境が、病原菌の付着を防いでくれているわけです。
人間の身体は、よくできているのです。
除菌や、石鹸洗浄を頻回にすることで、
皮膚が中性になり、
病原菌が住みやすくなります。
そして、かえって病原菌が付着しやすくなって、
それを、口から取り込むことになり
余計病気に罹りやすくなるわけです。
また、常在菌を、除菌したり石鹸で洗い流してしまうと、
皮膚が細菌が作る皮脂膜もこわし、
皮膚のバリア機能も無くしてしまいます。
これが、肌荒れや、アトピー性皮膚炎などの
きっかけになります。
1度、皮膚の表面から洗い流されてしまった常在菌が
しっかり機能する状態までの数にもどるのに
12時間くらいかかるともいわれています。
機能が戻らないうちに、常在菌を洗い流してしまうわけです。
常に、手の表面は、病原菌が育ちやすい環境の
不潔の状態であるといえます。
常在菌では、最近注目されている腸内細菌が生態系を形成している
腸内フローラが有名ですね。
身体の色々なところに常在菌は住み着いています。
この常在菌を守り一緒に共存することで
外からの病原菌から、身体を守り
健康に保つ機能を守っているのです。
もうひとつ、考えてほしいことがあります。
消毒や、石鹸での手洗いのやりすぎは、
注意して行わないと怖いものだと思います。
なぜなら、
常に同じ消毒薬を使用し続けることで、
菌が強くなり、
薬が効かなくなる耐性菌を作り出すかもしれないからです。
今のように、安易に消毒薬を使用しすぎることで、
新型コロナウイルスも、
さらに強い形に変異していくのではないかと、心配しています。
身体の色々なところに常在菌は住み着いています。
この常在菌を守り一緒に共存することで
外からの病原菌から、身体を守り、
健康に保つ機能を守っているのです。
赤ちゃんが、肛門近くを通って産まれるのも、
いろいろなものをなめたがるのも、
その地域の常在菌をからだにうまく取り入れる
自然の本能があるのです。
そうやって、自分の身体を強くしていきます。
忘れてはいけないのは、
身体の機能を有効に生かしていくには、
身体自体が
”良い状態であることが前提” だということです。
免疫力を高めていれば、病原菌に負けないように
身体は働いてくれます。
細菌に触れることは、生きていく上で必要な事なのです。
無菌状態にする必要は全くありません。
日本の水道水は、清潔です。
感染症の予防という意味では、
これで、洗い流すだけでも充分だと思います。
(石鹸の使用は、水道水で落ちにくい
過剰な汚染物が付着しているときのみでも
充分だと考えます。)
ご自宅の日頃のお掃除も、
消毒液を吹きかけるのではなく、
きれいな水で、拭き掃除をするだけで
充分だと思います。
身体は、私たちが考えるよりも精密にできています。
もっと、自分の身体の持つ力を信じてみませんか?
本当に、除菌しなくてはいけないのか
見直してみませんか?