シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
子どもの学校に行って、学級目標でよく見かけるのが
「みんなと仲良く」というのがあります。
私は、小さい時から、
この言葉に違和感を感じていた子どもでした。
(みんなと仲良くなんて、無理だよ~。)
(あんな意地悪な子とは、遊びたいとも思わないもん。)
(先生の前だけ、いい子にして、掃除をさぼる子は嫌い)
そんな風に、全員と仲良くするのは無理。
気の合う、一緒にいて楽しい子としか、
ホントの仲良しになれないと思っていました。
だからといって、嫌いな子に対して、
『あなたのこと嫌いだよ』ってアピールできる強さもなかったので、
話を合わせたり、そっと距離を置く技を身につけていました。
乱暴そうな子がいれば、近づかない
人の悪口がはじまったら、トイレに行くふりしてはなれちゃう
我ながら、うまく立ち回っていた(?)子どもだったわけです。
今思うと、こうやって先生の掲げる目標を守ろうともせず、
いい加減な子どもだったことは、
逆に、生きやすく、役立っていたような気がするのです。
絶対に、「みんなと仲良くしなくちゃいけない」
そう思い込んでいたら、自分は人に合わせてばかりになるし
守れない自分は、ダメな人間だと思ってしまい、
苦しい思いをしたはず。
あなたは、どうですか?
どこに行っても、自分にあう、仲良くなれそうという人の方が
少ない世の中ではありませんか?
例えば、学生の頃でも、クラスに30人いたとしても、
そのうち本当に、気の合う仲間は、1割いればいい方では?
(もしかしたら、私だけ?)
とにかく、本当に理解しあえる仲間に巡り合える人数は
限られていると思うのです。
「みんな仲良く」は、実際は難しいのに、
子どもの頃に、当たり前のように刷り込まれていく教育は
少し注意が必要かもしれないと思います。
自分と合わない人の方がほとんどなのですから・・・。
人には必ず、ネガティブな感情があって、蓋をする必要はない事。
悪い感情だを持つ自分を認めてあげることが大事だと思います。
それが、にんげんだもの・・・
知り合う人に対して、自分と合わないなと感じる、
嫌いだと感じてしまう感情を持ってしまうことこそ、
当たり前だし、それが悪いことではないと
子どもには、教えてあげたいと思います。
ただ、そのときに、
そう思ってしまうのは自分なので、
相手に、嫌いだよと攻撃するとか、
他の人に自分と同じ「嫌い」を押し付けることは、
やってはいけないと教えるべきでしょう。
自分が嫌いな人でも、傷つけることは、
どんな理由があってもやってはいけないということの方を
教えておくべきだと思います。
自分と価値観の違う相手とも
頑張って仲良くなろうとしたり、
嫌いだと思ってはいけないと思いこんだり、
良いところを探して好きにならないといけないなどと、
どんな人でも無理やり好きになろうとすることで、
辛い思いをしてしまう人がたくさんいます。
それは、必要ない努力だと思います。
自分の中の『嫌い』という感情を、大事に認めて
それを相手や、他人、物にぶつけずに、
相手のことも尊重し相手を傷つけないこと、
距離を置く方法を身につけることを、
努力していくほうがいいし、
それが自分を大事に守ることにもなると思います。
それを理解していれば、
子どもが『○○ちゃん、意地悪だから嫌い!』といった時の
対応が変わるでしょう。
「嫌いなんて言っちゃだめ!」
「みんな仲良くしなさい!」と言うのは
子どもの感情を否定し、そんな感情を持ってはいけないと
蓋をさせることになります。
そうではなく、
「そうなんだね」「その子が嫌なんだね」と
気持ちを受け止めてあげましょう。
もしも、相手の目の前で言うような時には、
その行動を修正してあげることが必要です。
そして嫌いな相手とはどう付き合っていけばよいか、
具体的に考えていきましょう。
例えば・・・
・嫌いでも無視したりイジメたりしてはいけない
嫌いな相手であっても、「挨拶をしない」「無視をする」
「イジメる」「必要な連絡をしない」などは、
たとえ嫌いな相手であってもしてはいけないことです。
年長さんくらいになったら、ちょっと我慢する必要はあること、
距離をおくこと、離れることも選択肢として示してもいいです。
・「嫌い」という気持ちを相手に伝えない
『「嫌い」と言われたら、悲しいよね。』
『自分が言われて傷つく言葉は言わないよ。』
理解ができないうちでも、相手を傷つける言動をみかけたら、
注意し、正しい方法を教えましょう。
自分の心が言えるようになったときには、
『そういう言葉を聞くと、悲しい気持ちになる』
「大声で怒鳴られるのは嫌」など、
自分を守るためには嫌なことを嫌だと相手に伝えられる力も
大事なスキルになります。
・嫌いな理由を考えてみる
嫌いだと思っている感情を、認めたうえで、
「どうして嫌いなの?」「どんなところが嫌いなの?」と
質問してみてください。
そうすると、嫌いなのは、その一部だけかもしれないということに
気がついて、解決方法が見つかるかもしれません。
そうやって、感情と上手く付き合う練習をしていくのですね。
学校や、塾などでの人間関係は、距離を置く事や、
その場の対応で、乗り切ることができるので、
「みんなと仲良く」を頑張ってできてしまう子もいます。
真面目に学校で刷り込まれる言葉を守ろうと
頑張りすぎてしまう子どもほど、
頑張り切れなくなったときに、崩れてしまうことがあります。
特に、家族、兄弟関係といった、近い人間関係ほど、
この、「みんな仲良く」が重いものになってしまう事があります。
家族という数名の構成メンバーの中で、
気の合う人に出会えるのは奇跡に近いと思っていいと思います。
【家族だから、兄弟だから、仲がいいのが当たり前】
【お互いに、理解しあっているのが当たり前】
家族ほど、こんな風な思い込みを持ちやすいのです。
この、思い込みのせいで、家族の間での
トラブルはおこります。
お互いに、相手に感じてしまうネガティブな感情を隠し合い、
理解してくれて当然なはずなのに
理解してくれないという思いが募る一方で、
世間的には、仲が良いふりをしなくてはならない、
親をがっかりさせてはいけない、
全て理解しているふりをしないといけない
そんな風に心に多くの矛盾を抱えていく中で、
家族間の愛情のもつれが、殺人事件まで、
発展してしまう事もあります。
例え、家族であっても嫌いなタイプもいれば、
価値観が違う人もいるのが当然だと思いましょう。
だから、会話が必要なんです。
お互いを尊重すること、
場合によっては、適度な距離を保つことが必要なのです。
家族だからといって、心の中に土足で踏み込むようなことや、
相手を傷つけてしまう言動はやってはいけないのです。
我慢できずに、傷つけてしまいそうなら、
逃げたっていいんです。
それは、相手が、幼い子供でも、
変わりがないことを、大人が理解しないといけないと思います。
私がもし学級目標を直すとしたら
『みんな仲良く』は、無理だけど、
『お互いを大事に認めあいましょう』って感じでしょうか?