シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
悪気はないけれど、
大人がついやってしまいがちな
子どもに絶対にやってはいけないことがあります。
たとえば、お絵かきが大好きな子どもが、
大好きなおばあちゃんの似顔絵を描いて
おばあちゃんに、プレゼントしたとします。
喜んだおばあちゃんは、
『まあ、上手に描けてるね。ありがとうね』と大喜び。
『〇〇ちゃん、ご褒美に100円あげるから、お菓子でも買っておいで』
よくある光景です。
でも、子どものことを大事に思うなら、
これって絶対にやってはいけません。
よかれと思ってご褒美をあげた結果が、
逆に子供のやる気・関心を奪ってしまうことにつながるからです。((+_+))
やる気(=動機づけ)には、2種類あります。
ひとつは、達成感や充足感、行動そのものに対する喜びといった
自分の内部から生み出される「内発的動機づけ」。
もうひとつは、報酬や評価、賞賛といった
外部からの刺激により生み出される「外発的動機づけ」です。
例えば、お絵かきをするとき、「絵を描くことが楽しくてわくわくする」
「どんどん上手に描けることが嬉しいから描いている」というのは
「内発的動機づけ」
「絵を描いたら、おこづかいがもらえるからやる」というのは
「外発的動機づけ」です。
やる気を持続させるためには「内発的動機づけ」が大事だといわれています。
なぜなら、「外発的動機づけ」には物理的な限度があり、
長続きしないから、やる気を持続させることはできないからです。
ずっと、おこづかいをあげ続けることはできませんよね。
また、「外発的動機づけ」による行動の場合、
次第に行動の質が落ちていくことがあります。
適当にその行動を終わらせたり、見ているときだけやったりといった
悪知恵が働くからです。
一方、「内発的動機づけ」によって行動する場合は、
行動そのものにやりがいを見出しているので、
やればやるほどもっと好きになったり、
上達したりといったことも期待できます。
子どもの成長を願うなら、「内発的動機づけ」を
引き出してあげることが必要です。
《自分がやりたいことだからやっている》
《できないことをできるようになりたい》
《やってみたらどう変わるかが楽しみ》と
「内発的動機づけ」による行動が見られているのにも関わらず、
この行動に対して、ご褒美をあげてしまうことで
その目的が報酬に置き換えられてしまいます。
「たのしいから絵を描く」⇒「お小遣いがもらえるから絵を描く」
というように動機がシフトしてしまうのです。
ご褒美をもらったことによって、
「自己決定感」や「有能感」が低下してしまうことと
「他者から評価されるもの」という認識に
変わってしまうことによって
もともとあった絵を描く事に対するやる気や興味を
低下させてしまいます。
この心理を【アンダーマイニング効果】といいます。
アンダーマイン(undermine)とは、
「ひそかに傷つける」や「土台を崩す」という意味の英語です。
表向きは、子どもを認め、励ましている行動にみえるのですが、
子どもの心の土台を崩してしまっているのです。
今日のアドバイス
子どもが「好き」でやってることに対して、ご褒美をあげない。
では、【アンダーマイニング効果】を起こさないため
気をつけたい事をお伝えします。
1 お金や物という物質ではなく、言葉、態度で報酬を与える。
2 結果そのものではなくて、その努力や過程を認める。
3 子ども自身が、自分で決めて行動したことを認める。
(他人から、強いられてやったように感じさせない。)
【アンダーマイニング効果】によると
ご褒美を与えることは悪いことのように思えます。
餌で釣るような教育はよくないと考える人もいますよね。
ご褒美が何でもかんでも「悪」かというと、そうではありません。
子どものやる気を引き出すのに「ご褒美」はとても有効。
やりたがらない子どもを動かすには、一番の方法です。
ご褒美によってモチベーションが上がる状況もあるのです。
これを、【エンハンシング効果】といって、
アンダーマイニング効果とは反対で、外発的動機づけによって
モチベーションを向上させることができる現象をいいます。
あくまでも、子ども自身が自ら好きでやり始めた行動へのご褒美が
モチベーションを下げるのでよくないということで、
子どもが自分から、苦労して目標を立てて頑張っていたことなら
ご褒美は、モチベーションにつながります。
また、この【アンダーマイニング効果】の
やる気を失わせるという効果を逆に利用し、
ゲームばかりしている子供にゲームのクリアごとに
賞金を与えるなどして、
ゲーム嫌いにするという使い方をすることは可能です。
育児に駆け引きをするようで、好きではないのですが、
子どものモチベーションをたかめて、好奇心をのばすような
働きかけは意識しておくと役立つと思います。