シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
最近のスーパーでの買い物では、
自分で支払うタイプのレジが増えてきていて、
決済方法も、PAYPAYや、LINEPAYなどといった、
電子マネーを利用した、スマホ決済の利用が増えましたよね。
もちろん、クレジットカード利用もあって、
現金を持たなくても、買い物には困らない社会になりました。
でも、このクレジットカードやスマホ決済サービスには、
発達障害のある方にとっては、ちょっと困ったことがあります。
それは、お金を使ったという感覚が弱いことと、管理が面倒である点です。
大人の発達障害の方で、課題になるのが
金銭管理ができないということがあります・
クレジットカードやスマホ決済サービスは、
お金を使ったという感覚が現金に比べて弱いので、
お金を使ったという気分になりにくいという欠点があります。
たとえば「1万円支払った」という事実があったときに、
それが「実感」もしくは「体感」できにくいということです。
「1万円が、どのくらいのインパクトがある金額か」という実感や、
「今月はあとどのくらいのお金でやりくりしなくてはいけないか」
という感覚が持ちづらいのです。
お金だけでなく、時間にまつわる数字でも同じことが言われています。
8:00に出発しなければ遅刻するといっても、
デジタル時計で「7:45」と表示されているのを見ても、
焦る気持ちが起こらない人が多いようです。
どちらかというと、アナログ時計の針の方が、
残り時間を実感できる人もいます。
数字をレジで聞いたり、レシートなどの表記を見ただけでは、
量的なイメージが湧きづらいことがあるようです。
もうひとつは、記憶力の問題と言われています。
一般的なADHDの特性は不注意、衝動性、多動性ですが、
この不注意の現れ方のひとつに「忘れっぽい」ということがあります。
定型の人よりもワーキングメモリー(一時記憶力)が低いため、
目の前のことを優先してしまう傾向が強いと言われています。
計画性がない行動をしてしまったり、
新しい出来事に振り回されてしまうため何かをきちんと管理することが
苦手だったりします。
大人になってから、衝動買いや、ギャンブル・ゲーム依存、
クレジットカード破産といった問題を起こさないような
力をつけておきたいものです。
ADHD特性の強い人は、お金を使うことに快楽を覚えやすく、
LD特性が強い人は、どのくらい金額を使ったのか(残っているのか)
イメージしづらい傾向にあると考えられます。
どんな人でも、欲しいと感じると手に入れた衝動がおこりますよね。
それを、ブレーキをかけ、冷静に考える力を鍛える必要があります。
ADHDの子どもは、このブレーキが利きにくいので、
欲しいものが手に入るまで、ずっと泣き続けたり、
癇癪をおこすなんていうこともあります。
それでも、折を見て、
小さなことから、我慢することも経験させます。
そして、買い物の時には、実際にお金をみせ、
「あと何枚10円がある」と見たり(視覚)、
「財布がこのくらい重い」と触れたりして(触覚)、
お金が、実際に減っていくのも見るようにします。
欲しいものも、本当に必要なのか、
それがないと、どうなるのか、など、考えるようにします。
年齢に合わせて、少額から、一緒に管理する方法を学びます。
子どもがやはり、残高が分かりにくいとか、
欲しくなると、後先考えず
買いたい気持ちを我慢できないという様子がある場合は、
クレジットカードや、キャッシュレス決済は
避けた方がいいと思います。
時代遅れなんて、思うかもしれませんが、
大切なのは、自分で金銭管理ができる事です。
現金での支払いの方が、特性的にはあっているのです。
子どもの特性を、じっくり見極めながら、
自立できる方法を一緒に考えていきましょう。