シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
人は感覚に対する感じ方に
個人差があるものです。
新しい場所に行くと泣いて
なかなか入ろうとしない子もいれば、
全く気にせず、ズカズカと
入り込んでくる子もいます。
ある程度であれば、問題なのですが、
極端に強いとやはり集団生活では
難しい局面があるのは事実です。
本人もその感覚が特別敏感だったり、
鈍感だったりすることで
日常生活に不便さを感じたり、
過ごしにくさを感じたりすることがあります。
多くの子どもと関わっていると、
程度の問題はありますが、
この子は触覚過敏が強いなとか
聴覚が鈍感だなと感じるケースは
とても多いです。
小さい子の集団では、
背後から近づいてしまっただけなのに
叩かれた、噛まれたといったことが
よく起こります。
こんな場合、大人は
叩いた子どもが悪いと思い込んで、
その子を注意して終わってしまいがちです。
でも、ここで、もう一つ
考えておくことがあります。
それが、この感覚の問題です。
本人は、そのことに怖さや不安があって
自分を守ろうとした行動であるかもしれません。
そのような場合は、【叩くことは悪いことだ】と
注意するだけでは、再びこの行動を
繰り返してしまうことになります。
その子の感覚の特性を理解して、
環境を整えていきます。
座る場所を工夫して、
背後に人が通れないようにしたり
その子の程度によっては、
「後ろに〇〇ちゃんがいるからねっ」
「ここには、お友だちしかいないから、
誰かが周りに来ても安心だからねっ」て伝えておくなど
その子どもが不利益な行動をとらなくてすむように
援助しながら練習していくようにします。
目が届くうちは、その子に合わせて、
外部からの刺激の調整、
配慮をしていけば、
大きな問題になることは避けられます。
ですから、少人数で過ごす期間であったり、
対応が慣れている人の前では
問題として表面化しない場合があります。
けれども、そのような子どもが
大きな集団の中で自己責任下で
行動することが求められる状況になると
急に問題として見えてくる場合があります。
よく相談されるのは、
小学校に上がってから、
急に乱暴になってしまったとか、
教室ですぐ立ち歩いてしまうと
先生に注意されてしまったなどで
小学校に入学して間もなく
子どもの行動変化が起きたというものです。
問題行動として表れるのは
怒りやすくなる、元気がなくなる
登校しぶり、学習意欲がない
じっとしていられないなど様々です。
それは、環境の変化というだけでなく、
それまでは、その子に合わせた
配慮がされていた場面が
配慮されなくなったことで
子どもが上手対応できなくなったと
思われます。
例えば、触覚が非常に過敏な子どもの様子を
みてみましょう。
赤ちゃんの頃から、次のような様子が見られます。
抱かれるのを嫌がる。
軽く触られるのも嫌がる。
後ろから近寄られたり、
テーブルの下などで足が触れるなど
目に見えないところでの接触を嫌がって
感情的に反応する。
苦手な食感の物が食べられない。
小さな傷、少しの刺激でも大げさに反応して
いつまでも気にする。
医師などの診察の時触られると異常に抵抗する
このような子どもの場合
小学校の教室では人が蜜にいて、
周囲をうろつかれるだけでも
苦痛に感じるかもしれません。
自分の背後に人の気配があるだけで
落ち着かない子もいます。
特性があることを
入学時に先生に苦手な事を伝えておくことで
可能な範囲で座席の工夫など配慮することで
避けられることもあるかもしれません。
子どもも、自分は人よりも触覚が敏感だと
理解しておくことで、
感情的な怒り、不快感を
別の方法で表現できるようになります。
早いうちから、特性に気がつくことで、
苦手な場面での対応方法を作っていけます。
それを増やすことで
子どもが独り立ちする時に、
苦痛な場面を減らすことができます。
感覚は触覚だけではありません。
聴覚、味覚、嗅覚、視覚、内臓感覚
固有覚、前庭覚などがあって、
それぞれが、どのように情報処理されるかで
子どもの困る場面は変わってきます。
就学を控えている子どもは
もう一度、子どもを観察してみてください。
特にいつもと環境が変わった場面で
子どもの感情が大きく昂ったり、
無反応であったりするときは、
感覚の受け取り方にアンバランスさが
あるかもしれません。
どんな時にそれを感じたのか
書き留めて振り返ってみると、
子どもの困っている場面が分かってくると思います。
気になる場面がある場合は、
発達の専門医などに相談することを
おすすめします。
そんな場面の一つ一つを解決し、
同じ思いをしないですむように
子どもと一緒に行動できるこの乳幼児期に
丁寧に練習しておきましょう。