シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
昨日は映画『梅きらぬバカ』を観てきました。
自閉症の中年とその親の日常を描いた作品です。
障害児と共に生きていく親にとって、
自分が亡くなった後の子どもの行く末は
切実な不安との戦いでしょう。
どうやって、社会の中で生きていけるのか
模索しながら我が子と暮らす母親の姿が
暖かく伝わる作品でした。
社会の偏見。
自分の立場が変われば、
いつその偏見に晒される自分になるかも
知れないことを忘れてしまいます。
自分は正しいことを主張した気になって
相手に寄り添おうともしない。
相手が障害者であっても、
子どもであっても、
権力者であっても、
お年寄りであっても、
ホームレスであっても、
どんな立場にも、
自分だってなりうります。
みんな立場が違っていても、
人としては対等です。
お互い様なんですよね。
地域の中で、みんなが居場所を与えられて
安心できるには、
人とのつながりは欠かせません。
『町で有名人になる』
そんな風に、母親は子どもへの夢を語ります。
子どものことを街のみんなが理解し、
見守ってくれるような社会であれば、
自分が亡き後も安心だと感じているようです。
親だけが子どもを育てるには
限界があります。
多くの理解者を作ることは
子どもの財産です。
これは、障害者だからではありません。
みんな、同じだと思います。
暖かい地域社会つくりから
人の居場所はできてくると思います。
梅の木も1本では実がなりません。
他に木があるから実がなるのですよね。
人も一人では生きられません。
人がいてくれるから生きられるのです。
この映画の中の母親は、
子どもの将来を心配しながらも
子どもと毎日を丁寧に過ごしています。
人を傷つけないように、
不快にしないように
手入れを怠りません。
時間管理や、身だしなみを整える事など
子どものペースを作り上げ、
その生活に寄り添って共に生きています。
毎日、丁寧に繰り返してきたことでしょう。
できる限りの苦痛を取り除くことも
環境を整えることで行っています。
子どもの心をよく観察しています。
先の不安ばかりに振り回されずに、
今を大事に子どもと穏やかに過ごす時間を
楽しんでいるのが感じられて
ほんわかと、温かい気持ちになりました。
映画の続きを自分の中では
ハッピーエンドにしています。
自閉症の彼は、母親がいなくても、
地域の人に助けられ、
彼のやさしさは周りを癒し
お互い様でつながったやさしい社会で
楽しく生きています。