シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
あなたは子どもを、どんなふうにみていますか?
小さくて、まだまだ1人じゃ何もできないと思いますか?
それとも、どんどんいろんな事ができるようになる
可能性の塊って思いますか?
この想いの違いが、子どもへの毎日の言葉かけや、
態度の全てに知らないうちに影響を与えています。
あるクラスの子どもたちのお話です。
このクラスの先生は、子どもたちの運動面を、
成長させたいという目的で、たくさん工夫していました。
平均台や、跳び箱などの指導にも、怪我のないように、
しっかりと環境を整え、一人一人に、補助をつけて身体の使い方を教えたり、
とにかく丁寧に指導します。
子どもたちも、先生の話をきいて、真面目顔で慎重に
平均台にも取り組んでいます。
でも、なかなか、手放しで、平均台を歩くことができません。
この先生は、この子達にはまだ、難しそうで
もう少し練習を続けないと上手にできないようですと、
子どもたちの姿を見て心配しています。
ある時、この先生がお休みで、代わりの先生が、
運動遊びをやることになりました。
副担任が、いつもと同じように、平均台や、跳び箱を準備します。
まず、この先生が見本を見せた後、
『じゃあ順番にどんどんやってみよう!』
って言われた子どもたち。
初めは、(あれっ?)と思った顔をして戸惑っていたのですが、
始めると、次々と続いていきます。
『いいねー。上手だね。』
明るい元気に声をかけながら、その場の空気が盛り上げています。
このクラスには、グレゾーンの子がいて、
今までは、平均台も手をつないでも、フラフラしてしまい、
恐る恐るやっと渡っていたのですが、
気がつくとスイスイと、前の子どもの後を渡っています。
これには、副担任の先生はびっくり。
走って渡る子もいて、こんなにこの子たちはできる子だったんだって
初めて気がついたというのです。
同じクラスの子どもなのに、何がこの違いを生むのでしょうか。
今日のアドバイス
子どもを心配するのではなく、子どもの力を信じる
この先生は、この子たちは運動ができる力を持っていると、
信じて関わってます。
もしも、危険を感じたらそれを回避しようとする力も持っている。
そのように、信じています。
だから、助けを求められたり、困っているときだけ
ちょっと手助けをします。
失敗しないように、用意することはありません。
(もちろん、大けがにならないように、設定はしていますが・・・)
子どももたちは、自分で工夫しながら、それなりにルールを作って
先生が細かく指導しなくても、楽しく何度もチャレンジしていきます。
子どもは、大人が信じて見守ることで持っている力を発揮します。
ロシアのヴィゴッキーの構築した心理学理論に
発達の最近接領域という考えがあります。
子どもは自分でできる事ばかりやっていては
成長は思うようにできません。
自分ではできないけれど、誰かの協力があればできるかもしれない領域が、
発達の最近接領域です。
この領域に上手くアプローチができると、
子どもは、自然に発達を伸ばしていくことができます。
集団の中で、自分よりも少し上手にできる子のまねをし、
挑戦したり、ちょっとアドバイスをもらうことで、
それまでの自分の能力よりも高いことを習得できます。
はじめから、子どもを不安感で見てしまうと、
どうしても、大人の安心な枠に子どもを当てはめて、
、
失敗のないように設定してしまいがちです。
子ども自身も、いつも心配されていると、
失敗や、間違えがいけない事のように感じ
チャレンジできず、自信が育ちません。
まずは、大人が不安がらずに子どもの力を信じることで、
子どもも自分の力を育てていくことができます。
子どもは、失敗を恐れず、何でもチャレンジできるという
特性を持っています。
何度失敗しても、人目を気にせず、
何度も挑戦できるのです。
この時期を大切に、大人は信じて、ただ見守っていきましょう。