石鍋てるみです。
私が運営している
『一時保育専門託児ルームコミナスキッズ』には
0歳から3歳くらいの
第1子のお子さんの利用者が多いです。
家庭の中であれば
大人と接する時間がほとんどで
大抵のことはそのお子さん中心にした
生活が多いと思います。
子ども自身が安心で
居心地の良い空間であることが多いので
我慢することも少ないし
のんびり過ごしていても
困ることがないかもしれません。
でも、ここに来ると
時には、ちょっとお兄ちゃんがいたり
自分より赤ちゃんがいたりといった
いつもと違う環境があります。
時には、高校生がいたりすることもあります。
現代は自分とちょっと年が違う人
子どもと関わる機会がないでしょう。
先日も、1歳の男の子が
利用してくれた時のことです。
いつも自由気ままに
おもちゃを持ってきては
心置きなくご機嫌で過ごせるはずなのに
この日はちょっと違っていました。
プラレールの電車を
手に持って、走らせていたら
奥の部屋で線路を組み立てていた
3歳のお兄ちゃんが
その電車を使いたくなったらしく
奪われそうになってしまいました。
そして、あっけなく奪い取られ
泣き顔で私の方を見て助けを求めています。
こんな時、私は
少し子ども同士のやりとりを
観察してみます。
私が、取り返してくれるわけでも
取り上げた子を
叱るわけでもないことがわかると
その男の子は諦めて、
他の遊びを見つけました。
でも、やはり奥の部屋の
お兄ちゃんが気になる感じで
チラチラと様子を見ています。
そのうち、お気に入りの電車が
線路の脇に転がっているのを見つけ
隙を見て、取り返そうと行ったのですが
すぐに気づかれてしまい
取り戻すことができません。
今度は大泣きしてしまいました。
すると、お兄ちゃんが
その電車を「はい」って
渡してくれました。
その後、プラレールの線路を挟んで
二人で無言で遊ぶ姿が見られました。
私が介入しなくても
子ども同士で駆け引きや
感情の読み取り合いをして
その場をうまくやっていこうとする
行動ができるという姿を
見ることができました。
この二人は、ひとりっ子同士。
兄弟はいません。
でも、ここで悔しい思いや
労わる気持ちなどを学ぶことができます。
おもちゃを返してあげなさいとか
お兄ちゃんだから譲ってあげようねとか
ありがとうって言いなさいなんて
大人がいうよりも
多くの経験をして、
自分がとった行動の良し悪しを
実感し学ぶことって
とても意味があると感じています。
「はい」って譲れたことが
好ましい行動だったのかどうかは
その子が私に同意を求めるような視線があれば
ニコッと笑顔で返すことで
その子は十分理解できる力を持っています。
譲ってもらえてよかったね
嬉しかったねって言語化することで
1歳の子も嬉しいという言葉と
今の気持ちをマッチングさせることが
できるわけです。
なんでも、見たり聞いたりだけで
知ったかぶりをしてしまいがちな
情報社会です。
小学生と遊んでいる1歳児。
高校生に抱かれている赤ちゃん。
高齢者にゲームを教えている小学生。
そんな姿を近くで見ることができる
この仕事が私は好きです。
子どもの頃に実体験を通した
自分の感情の揺れをしっかりと
意識できる経験を
重ねてあげられたら嬉しいなと思います。