シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
子どもが泣いているのをみたとき、
あなたの心にどんな感情が起こるでしょうか?
(どこか、痛くしたのかな? 悔しい思いでもしたのかな?
何か失敗したのかな? )
まず、こんな風に、『どうして泣いているの?』と
気にかけますよね。
そして、様子が分かると、それに応じて手助けしたいと思います。
子どもの様子を知りたい、そして手助けしたいという気持ち。
いわゆる心配という感情でしょう。
そして、泣き止もうとする姿をみて、
あとは子どもは自分の力でどうにか解決していけるはずと、
その場を離れて見守る気持ち。
これは、いわゆる信頼という感情だと思います。
私が育児していく上で、悩むことは
我が子を「心配」しないで「信頼」することができるか、
ということです。
もう、成人した子どもにでさえも、この葛藤が起こります。
子どもに対して心配よりも信頼をすることが
子供のセルフイメージを上げることにつながるといわれています。
私たち大人でも、職場で周りからいつも「心配される」のと、
仕事をまかされて「信頼される」のではどちらが自分の自信につながるか
想像すれば、わかることです。
わかっているんですよね。でも、これがむずかしい。
そして、悩ましいのが、大人の自分だって、
時には心配してほしいという気持ちがあるということです。
はじめの泣いている子どもだって、
はじめから、(あなたは自分で解決できる力を持っているよ)
(信頼しているよ)と、見守ってくれる人ばかりだったとしたら、
解決はできたとしても、何だか侘しい気がしませんか?
ちょっとは、『どうしたの?』『だいじょうぶ?』って
声をかけて気にかけてほしいという、気持ちがおこると思います。
子どもが泣いているとき、
あなたは、心の中では気にかけて心配し、
子どもの立ち直りを信じて、
子どもを笑顔で見守り、目くばせで、励ましていたとします。
言葉にしなくてもわかってくれているはずだと
思っているかもしれません。
この子どもは、その気持ちを理解できるでしょうか?
もし、通じていなければ、子どもからすれば、
ただほっておかれているだけの、単なる無関心にしか見えません。
発達障害・グレーゾーンの子どもは特に、
見えないことを、くみ取る力が弱かったりするので、
言語を介さないコミュニケーションは通じにくい特性があります。
逆に、向けられた言葉を鵜呑みにしてしまうような、
極端な理解をしてしまうこともあります。
『いつも、あなたは転びやすいから注意して歩きなさいね』と
心配して投げかけた言葉を鵜呑みにして、
(自分は転びやすい子、もっと注意しないといけない子)と
自分に思い込ませてしまいます。
それが、自分のイメージを低めてしまいます。
そんな通じない関係の積み重ねが、
子どもの孤独感につながり、
信頼関係を無くすことにもなっていきます。
「心配」の気持ちを相手に伝えすぎれば
「信用されていない」と取られるし、
全くなければ「無関心、愛情が薄い」と
取られかねません。
子どもによって、
【もっと気にかけてほしい、そうしないと勇気が出ない】という
心配表現が多めに必要な子どもがいたり、
【ちょっと、わかってくれれば大丈夫。あとはそっとしといて】という
心配表現が、ほんの少しで足りてしまう子どもがいます。
自分も、普通よりも心配性なのか、関心が薄いのかどうか?
それを見極めること、加減が難しい。
子どもは、自分に起こった課題を乗り越える力は持っている
普段からこのような信頼を持って接することは大事です。
でも子どもを気にかけてしまうのは、つながりがあるからこそ
心配な気持ちはぬぐえないものです。
矛盾しているように思うかも知れませんが、
「信頼しているけど心配なんだよね」というのが本音です。
今日のアドバイス
子どもを心配している自分を知る
子どもへの心配の感情が、いけないわけではありません。
心配な気持ちがあるのは、子どもを信じ切れていないんだと
落ち込むことはありません。
心配な気持ちが出てくるのは当り前です。
心配の表現は、必ず子どもに示していくべきものだと思います。
ただ、子どもに誤解されない示し方
「心配」の気持ちの表現のバランスは、
うまくとるように心がける必要はあると思います。
私が上手くできないなりにも、
日頃から心がけている事をお伝えします。
心配の原因を意識する
沸き起こる子どもへの心配な気持ちは、
どこからきているのか、一度考えます。
そうすると、自分が安心したいから、認められたいから
そんな、自分の問題が原因であったりすることが
見えてくることがあります。
この原因が見えている心配については、
子どもへ表現することは避けます。
たとえば、
(もっと、上手に書けるようにならないといけないんじゃないか)
上手にかける子どもを育てた自分を認めてほしい。
こんな承認欲求がみえたら、この心配は捨てます。
子どもの反応を意識する
子どもによって、心配してほしい度合いが違うとお伝えしましたが、
『どうしたの?』という一言だけでも、
その反応で、入り込んでいい範囲を察知することができます。
喜んで話してくれる子もいれば、
無言で、プイってなる子もいます。
その反応に、振り回されずに、そのまま受け止めて
その子との、ちょうどいい距離を探ります。
相互の心の状態によっても変わるので、
配慮が必要ですが、子どもといえども他人です。
適度な距離感は意識することは必要でしょう。
自分がこう思っているという表現で伝える。
【あなたのためにこうしたらほうがいい、
あなたのためを思って心配している】という
表現はしないように注意しています。
『早く寝た方がいいんじゃない?』ではなくて、
『夜更かしすると、身体の調子が悪くなるんじゃないかって
心配なんだけど』っていう感じでしょうか。
あくまでも、自分の気持ちを伝えるだけです。
心配表現したら、おしまいにする
その心配を、どう相手が受け止め、対応するかは
もう相手の問題です。
それ以上、短期間に何度も繰り返したり、
結果を追求したりはしないようにします。
ここからは、もう、子どもの力を信頼することに切り替えます。
このようなことを、心がけてはいても、
人間関係はそう簡単なものではないのが現実ですよね。
行き違いや、トラブルも起きます。
それでも、子どもが【自分はできる】という気持ちを大事にしてほしい
自分を信頼できる人になってほしいと思っています。
我が子の一番近くにいる自分としては、子どもに信頼してもらえるような
大人でありたいと思っています。
子どもとの信頼関係がなくなったら、
育児はできません。
《心配と信頼のバランス》をとりながら表現することで、
子どもとの信頼関係を育てていきたいと思います。