コミュニティーナースの石鍋てるみです。
一時保育専門託児ルームコミナスキッズには
様々なお子さんがいらっしゃいます。
初めてあるいは久しぶりに子どもを預ける日や、
数回目でも、なかなか慣れずに
泣きながら別れるお子さんも中にはいます。

『ママ〜』って手を伸ばす
わが子を置いていくのは、
どんな親にとっても、
簡単なことではありません。
「本当に大丈夫だろうか」
「やっぱり早く迎えに行った方がいいのでは」
そんな気持ちが胸をよぎるのは、
ごく自然なことです。
コミナスキッズは一時保育専門ということもあり
お子さんが保育者と環境にいかに早く慣れて
安心を獲得してもらえるかが
大きな仕事の肝となります。
そこには、これまでの保育者としての
スキルを駆使しています。
ここで重要なのは、子どもの力です。
端的に言えば適応力、他を信じ、
自ら安心の場所を構築する力です。
その土台には根っこに
親との関係性がどうであるかが
大きく作用しています。
大部分のお子さんは
数時間で環境に慣れて笑顔で遊び始めます。
けれども、中には最後まで
泣きやめずにいるお子さんもいます。

2歳前後の子どもは、
まだ自分の気持ちを言葉で
整理することができません。
その代わりに、
とても敏感に大人の表情や声の調子
空気の変化を感じ取っています。
「大丈夫かな」
「泣いていて可哀想」
「無理をさせているかもしれない」
そんな親の気持ちは、言葉にしなくても、
抱っこの仕方や視線、声のトーンを通して、
自然と子どもに伝わっていきます。
すると子どもは、
「やっぱりここは安心できない場所なんだ」
「泣いていれば、ママやパパは心配してくれる」
そんなふうに感じてしまうことがあります。
託児中に泣き続ける姿は、
決して“わがまま”ではありません。
むしろ、親との強い結びつきがあるからこそ出てくる、
反応だと感じています。
そして、泣く → 親が構ってくれる
優しくしてくれる、
なんでもいうことを聞いてくれる
という経験が重なると、
子どもにとっては
「泣き続けることが、いちばん安心につながる方法」
として心に刻まれていくこともあります。
これは誰かが悪いわけではありません。
親が子どもを思う気持ちと、
子どもが親を求める気持ちが、
強くつながり合っている状態とも言えます。

ただその結果として、
子ども自身が気持ちを切り替える経験を
積みにくくなることがあるというのが、
保育の現場で感じる現実です。
こうした姿を目の前にすると、
「この子には、まだ早かったのではないか」
「今日は無理をさせてしまったのではないか」
そんなふうに、大人の側も揺れます。
保育の役割は、
子どもを親から引き離すことでも、
泣かせないことでもないと、私は考えています。
保育の場で大切にしたいのは、
「泣いてもいい」
「気持ちを切り替えられなくてもいい」
そのうえで、
ここにも安心できる大人がいると、
少しずつ知って安心な場所を
自分で見つけるきっかけを作ることです。
すぐに笑顔にならなくてもいい。
おもちゃで遊べなくてもいい。
今日はずっと泣いて過ごしたという日があってもいい。
それでも、同じ場所で、同じ保育者が、
同じ距離感で関わることで、
少しずつ子どもの中に
「ここは安全な場所かもしれない」
という小さな発見が育っていきます。
同時に、保育が担っている
もう一つの大切な役割は、
親の不安を受け止めることだと思っています。
泣いている我が子を預ける親の胸には、
言葉にできないほどの葛藤があります。
だからこそ、
「今日はたくさん泣きました」
「少しだけ、こんな表情も見せてくれました」
そんな子どもの変化を、
丁寧にお伝えすることで
親が安心して、
子どもの成長を信じられるようになるための
お手伝いをさせていただくつもりでいます。
子どもが育つのは、
泣かなくなった時ではなく、
「泣いても大丈夫な場所」が
増えた時だと思っています。
泣いているわが子を見るのは、
胸が締めつけられるほどつらく感じる方もいます。
「早く迎えに行った方がいいのでは」
「やっぱり無理をさせているのでは」
そう思うのは、親としてとても自然な感情だと思います。
すぐに迎えに来ることも、
途中で様子を確認したくなることも、
決して間違いではありません。
それはすべて、
子どもを大切に思う気持ちから生まれています。
ただ、もし可能であれば、
ほんの少しだけでいいので、
「この子は大丈夫だと信じる気持ち」を
持ってみてほしいと思います。
子どもへの心配は、
子どもの力を信じきれていない気持ちが含まれています。
子どもは、親が思っている以上に、
自分の力で気持ちを整え
育とうとしています。
親が一歩引いて心配を手放すことは、
突き放すことではありません。
それは、
「あなたなら大丈夫」と信じることに繋がり
とても深い愛情なのだと思います。
保育現場は、子どもを預かる場所であると同時に、
親の不安を一緒に抱える場所でもあります。
その両方を考慮しながら
日々の保育に努めていきたいと思っています。
