シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
近頃、乳幼児に、ある感染症が流行し始めています。
それは、アデノウイルス感染症
鼻水や咳、喉の痛み、発熱、目やに、目が充血、
腹痛、嘔吐、下痢、排尿時痛などの症状が見られます。
アデノウイルスは1型から51型まで51もの血清型があって、
遺伝子分類ではさらに細かな分類ができるほど
多くの種類が存在します。
約半数の血清型が病気を引き起こし
何度も感染を繰り返して様々な症状が現れます。
ほとんどが、軽い風邪症状で、
治っていくタイプのものですが、
中には、保育園・学校の出席が停止になるタイプがあるので
注意が必要です。
1つが 咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルス3型、4型、7型などの感染で発症します。
38℃以上の高熱、のどの痛み、結膜炎といった症状があります。
もう一つが 流行性角結膜炎
アデノウイルス 8・19・37・4型などの感染で発症します。
大量の目やに・強い目の充血・目の異物感といった症状があります。
この2つは解熱してすべての症状が落ちついたあと
2日経ってから出席できるようになります。
その際は、登園・登校許可書の提出が必要になります。
アデノウイルス感染症が疑われる症状が出た時には、
園や、学校内での感染拡大を防ぐためにも
この2つの病気ではないか、医師の診断を受けるために
受診することをおすすめします。
新型コロナウイルス感染症の予防対策で、
あらゆるところで、消毒に気を使っているはずなのに、
流行するなんて・・・。
そんな風に思ってしまいますよね。
実は、このアデノウイルスは、
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスとは
違う特徴を持っています。
アデノウイルスは、
アルコール消毒が効きにくいウイルスなのです。
外出先や、自宅に帰ってから、
アルコール消毒をするのが日常になっている人も多いです。
でも、このウイルスを死滅させるには不十分なのです。
このタイプのウイルスには、次亜塩素酸ナトリウムが有効ですが、
この消毒薬は皮膚への使用には向いていません。
さらに、感染力が高く、症状がおさまったあとも咽頭から2週間程度、
便からは1ヶ月程度ウイルスが排出され、感染源となります。
症状がなくなっても、人へ感染させる期間が長いので、
知識がないと、知らないうちに感染を広げてしまう
二次感染の可能性が高いのです。
ですから、もう一度、
日頃の感染対策を見直してみましょう。
今日のアドバイス
感染症対策の基本を守り実施する。
感染予防のポイントは
手洗いと免疫力を高めることです。
どんな感染症でも、基本はこれしかありません。
治療薬の有無、消毒、ワクチン接種など
様々な対応策があっても、個人がこの意識を持って実践しなければ
感染症の予防、拡大は防げません。
そして、病気の知識を持つことです。
アデノウイルスのような、感染力の高い病気の対策を
しっかり学んでおくと、他にも応用できますから
ぜひ知っておきましょう。
感染症対策の基本
1 手を洗い、洗っていない手で粘膜に触れない
手に付着したウイルスを目の結膜や鼻、口の粘膜に付着すると
感染してしまいます。
手を清潔にするタイミングは、
汚染した直後と、粘膜、身体に手が触れる前(食事を含む)
癖で口の周りを触ったり、指しゃぶりするなどの場合は
他のものに意識を向けるように、早めに工夫したいものです。
2 タオル・コップなどの物品を共用しない。
使用物品にウイルスが付着し、そこから感染する恐れがあります。
家族であってもタオルなどは分けて使用しましょう。
3 免疫力を高める
免疫力が低下は、様々な病気に罹りやすくなります。
栄養を考えた食事、笑顔で過ごす
十分な睡眠を心がけましょう。
4 お風呂の入り方に気をつける
病気によってはプール熱のように
感染者と同じお風呂に入ることで、感染する恐れがあります。
感染した子供と一緒に入浴することは避け、
感染者が湯船につかる場合は最後にするなど、
感染が拡がらないように気をつけましょう。
5 洗濯ものを分けて洗う。
ウイルスによっては洗濯しただけでは死滅しないものがあります。
感染者とは洗濯物を分けることをおすすめします。
洗濯後は、日光下で干すか、アイロンがけをおこなうと
なお安心です。
6 排泄物は素手で触らない。
ウイルスは、長い間排泄物に混ざっている場合があります。
便、嘔吐物には特に注意が必要です。
処理するときなど、触ってしまう場面では、
必ず手袋をしましょう。
ごみは、袋で密封してその都度、室外に捨てましょう。
アデノウイルスそのものを治療する抗ウイルス薬はありません。
発熱に対しては、解熱鎮痛薬、咳がひどければ、咳止め薬、
目の症状には点眼薬というように、対症療法となります。
元気に過ごすには、毎日の生活で、
予防に努めていくことしかありません。
新型コロナ感染症予防で
アルコール消毒をしっかりしているからと安心せずに、
他の病気の正しい知識ももって、
感染対策をすすめましょう。