シンプル育児アドバイザーの石鍋てるみです。
あなたは、「逃げる」ということに、
どんなイメージをお持ちですか?
私は、スポ根アニメの全盛期に育ったので、
苦しくても、戦い抜く事、
成功するまで、歯を食いしばって頑張ることを
良い事のように感じていました。
人間は、忍耐強く我慢して、
自分の責任を果たさなければいけない。
それを美徳として教えられてきました。
だから、逃げたことが他人に知られたら、恥ずかしい。
逃げることは、悪いこと、弱虫だというイメージが
まだ、無意識に残っていたのです。
けれども、この【逃げる】ことは、
実はとても大事な人間の本能だと理解してからは、
前向きにチャレンジすることと同じくらい
重要な人間の機能だと思えるようになりました。
目の前に現れた状況が、今の自分に対応できる事、
できる事なのかどうか、見極める力、予測する力がないと、
【逃げる】ことはできません。
それが、命にかかわるようなことであっても、
頑張り続ける、立ち向かうことしかできないで
苦しみ続けてしまう子どもがいます。
いじめ、過干渉、虐待などで、
一人で頑張って苦しんでいる子どもです。
子どもに【逃げる】方法を教えたり、
逃げ道を作ってあげると、
ガマンができなかったり、
がんばれない子に育ってしまうのではないのかと
不安に感じてしまうお母さんもいるでしょう。
でも、どんな状況でも、
逃げ道を作ってあげる、
本当に嫌だ、大変だと感じたら、
その問題から逃げるという方法があるんだと
知らせておかないと安心して挑戦もできません。
全く逃げ道をふさがれた場所で、何かと戦うより、
万が一の時は、ここに逃げれば大丈夫という
逃げ道が用意されているのでは、
チャレンジする気持ちが変わると思うのです。
やって駄目なら、逃げられる、
そして違う方向からすすむことができると
余裕を持って子どもを見守れるといいと思います。
大きなトラックが、こちらに向かって走ってきたとき、
正面から立ち向かう人はいないでしょう。
それは、ぶつかれば弾き飛ばされてしまう未来が
予測できるからです。
予測できて、どんな大きなトラックが走ってきても、
横に逃げてしまえば、ぶつからずに、やり過ごせます。
なんでもかんでも頑張って、
正面から立ち向かわなくてもいいのです。
今日のアドバイス
子どもに、逃げてもいいと教える
自分を救うためには、【逃げる】ことを選択肢に加えて
教えておくのは必要なことだと思います。
嫌なことを、嫌だと言える勇気。
今の自分にはできないと、やめる勇気。
これを、表現できる子になることは大切なスキルです。
そして、子どもがそれを表現したら
認められるような親であってほしいと思います。
子ども自身が嫌だと思うことを、受け入れてもらえず
無理やり続けていくのは、
子どもが自分の心に、嘘をついて行動することになり、
いつか、その傷は深くなり自己嫌悪につながります。
発達の凸凹のある子どもの中には、
一度決められたら、どんなことがあっても
やらなくてはいけないと
頑張りすぎてしまう特性がある子がいます。
無理しているという心の負担感に、
気づきにくい場合もあります。
ストレスになっていることに気がつかないで、
やりすぎてしまっている場合があるのです。
そんな子どもに対しては、
笑顔で取り組めているか、
楽しそうにしているか、よく見てあげてください。
もし、頑張りすぎを感じたら、
意識して、逃げ道、わき道を作ってあげてください。
また、習い事など、
『一度やると決めて始めたんだから、
やめるのは、もったいない。根性がない。
どうにか最後までやり抜いて欲しい』という
親の思いが強くて、本人が嫌がっているのに
どうにか続けさせようと頑張るお母さんがいます。
でも、その子は、もうその習い事は、嫌なんです。
ですから、一度やめればいいのです。
また、やりたいと思うかもしれませんし、
全く思わないかもしれません。
ただ、無駄な月謝は払わずに済むし、
子どももイヤな事で大事な時間を過ごさなくていいので、
本当はお互いが楽になるはずなんです。
嫌な事からは、逃げてもいい。
そんな選択肢を受け入れられると、
色んなことが楽になります。
逃げてばかりの人生になってしまうかもと
不安になるかもしれませんが、
人間には今の自分より良くなりたいという
本能が備わっています。
あなたが、子どもの逃げる場所となっていれば
大丈夫です。
子どもの進む道を信じてあげましょう。