コミュニティーナースの石鍋てるみです。
「今日、どうしても預け先がなくて…」
コミナスキッズを続けてきて、
何度聞いたかわからない言葉です。
でもこの一言、
決して軽く口にされているわけではありません。
多くの親御さんは、
問い合わせる前に何度も迷っています。
「こんな理由で頼んでいいのかな」
「また断られたらどうしよう」
「私のわがままかもしれない」
「できない自分が悪いだけかもしれない」
そんな気持ちを抱えたまま、
勇気を出して連絡をくれています。
預け先がない、という状況は、
単に「保育園が見つからない」という話ではありません。
仕事を休めない
頼れる親族がいない
子どもが体調不良明け
自分の体調が悪い
いくつもの事情が重なって、
「今日だけ、誰かに助けてほしい」
そんな切実な状態になっています。
コミナスキッズは、
そんな“現行の制度のすき間”に立ち会う場所として
立ち上げました。
一時保育や臨時預かりは、
いつ、どのくらいの方が
必要としてくれるのかわかりません。
今日、利用したいと思う方が
いるかどうかもわかりませんし、
いたとしてもご希望の時に
お役に立つことができるかどうかに
確実な約束ができません。
初対面の親御さんの大事なお子さんを
数時間であっても、責任を持って
安全に安心してお預かりするという点でも
気も使います。
それでも続けてきたのは、
「預けたいと思った時に対応してもらえる」
と思ってもらえる場所が、
地域に一つは必要だと思ってきたからです。
私自身の育児経験で困ったことでもあって
保育者側になった時にも
様々な制度の決まりの中で
預かりの対象にならないために
お預かりできないケースがあって
不甲斐ない気持ちになったことが
たくさんありました。
保育中に発熱したお子さんのお迎えをお願いする時
今日は大事な会議があるってあのお母さん言ってたなって
思いながら連絡せざるをえない時もありました。
本当に困っているのは
育児中の数年からみたら
たったの数時間、数日かもしれません。
でも、今その時に、
子どもを託す場所があるかないかが
親御さんにとって
とても重要だったりするのです。
「子どもより、そっちが大事なの？」
そんなふうに思われるかもしれないと
葛藤してしまったり
自分の価値観を疑ったりして
傷ついてしまっている親御さん。
こんな方々は、人に我が子を預けることに
罪悪感を一緒に味わうことを覚悟して、
それでも預けようと決めて
連絡してくれている人なのです。
保育者として感じるのは、
「助けを求めるのは、決して弱さではないし
悪いことでもない」
ということです。
むしろ、
子どもを守ろうとしている証拠です。
本当につらいのは、
「頼っていい場所がない」と
思い込んでしまうこと。
もし今、
預け先がなくて一人で抱えている親御さんがいたら、
どうか覚えていてください。
あなたが困っているのは、
あなたのせいではありません。
そして、
「助けて」と言っていい場所は、
必ず必要です。
たくさん、作ればいいんです。
子どもにとっては
機嫌よく元気な親であることが
いちばんの心の栄養になるのですから。
『一時保育専門託児ルームコミナスキッズ』は、
「ちょっと、助けて」
そんな声を受け止めたいと思っている
小さな場所です。
完璧ではないけれど、
今日を乗り切るための“一時の安心”を
これからも大切に創りたいと思っています。
