石鍋てるみです。
責任感が強いお母さんほど
育児の全責任を背負って
頑張ってしまう傾向にあります。
そいういう人は、
自分に厳しい人が多くて
完璧主義者でもある人が
多いような気がします。
我が子に責任を持って関わることは、
親としてあるべき姿だと思います。
でも時々、育児に責任を持つことを
『完璧な姿に子どもを育てなければいけない』
と思い込んでいるのでは?と感じる場面に遭遇します。
そういう親御さんは
子どもが、失敗すること
マナーを守れないこと
自分が認められない行動を取ることに対して
過剰に注意したり、
初めから行動を制限したりして
やらないように仕向けていたりします。
子どもが何かやらかしてしまうと
親としての自分の評価が下がると
思っているようです。
親として完璧でありたいのです。
そのような親子関係では
子どもは何か行動を起こそうとするときになると
親に確認するようなアイコンタクトを取ったりして
許可を伺ってから行動するようになっているので
すぐにわかります。
お友達がおもちゃを貸してくれたときに
我が子が、何も言わずに受け取ったところを見ただけで
「ありがとうは?」って感謝の言葉を言わせようとしたり
ときには、目配せするだけで子どもが気づき
「ありがとう」っていうなんていうこともあります。
先日も、そのように
母親の反応を常に気にしながら
行動しているなと感じる子どもがいました。
母親がいる空間では
とにかく、礼儀正しく優しい子。
元々、頭も切れる子で
きちんとできる自分にも自信を持っている様子です。
親が喜んでくれることがすぐわかり
実際に親が期待するようにやることができます。
子どもの素質的にも
従うことができちゃうお子さんです。
その子が、何か物を取ってもらった瞬間
ついうっかり、ありがとうを言わずに
遊び始めてしまったとき
お母さんから、「〇〇ちゃん」って
一言声をかけられました。
一瞬、ハッとしたその子は
遊ぶ手を止めて
取ってくれたお友達のところに戻り
「ありがとうございます」って言いに行きました。
お母さんは、満足そうに
その子に向かって視線を向けただけでしたが
その子は、それを確認すると
安心したように遊びに戻って行きます。
お礼を言われた子どもは
なんのこと?っていくくらい
気にもしていません。
時分が渡したものを喜んで受け取って
遊び始めてくれたということの方が
取ってあげた友達には
嬉しかったんじゃないかなと思うのですが。
確かに、いつでも礼儀正しく挨拶できる子は
素晴らしいです。
そのように、子どもに教えていくことは
親としては大事なことかもしれません。
でも、このような場面をみると
親が子どもをコントロールしているに過ぎません。
いわゆるヘリコプターペアレント。
これでは、子どもはいつまでも
親の顔色をうかがいながらでしか
行動できなくなります。
自分の判断で行動しませんから
成功も失敗も親のせいにできます。
自分の本当の力を試す機会もありませんから
自分という姿がイメージできません。
この子を初めてお預かりしたとき
いつも通り、子どもには指示をせずに
自由に過ごしてもらいました。
なかなか、自分から遊び出せません。
最初は、礼儀正しくできていたのですが
時間の経過ごとにそれは崩れていき
数時間後には、別人のようになっていました。
赤ちゃんが使っているおもちゃも
勝手に取り上げたり、
次々おもちゃを出しまくり
「あれもやりたい、これ取って!」と
要求が多くなりました。
それでも、最初の頃よりも
表情はイキイキして笑顔いっぱいです。
時々母親の教えを思い出しては
私が何かしてあげると
「ありがとうございます」って
挨拶できたりします。
頭の中には監視しているお母さんが
いるんですよね。
結局その日のこの子は
髪の毛がボサボサになるまで
大はしゃぎでした。
本来の子どもらしい姿を見ることができて
私は安心しました。
ちゃんと親御さんの教育に沿って
指導しなくては一貫性が取れないから
勝手なことをされると困ると言われる
可能性もありますが
私は、子どもにとって
いろんな大人がいてもいいと思っています。
家庭では、ダメと言われていることが
他の場所では許されることがあったり
その逆もあると思います。
社会的にダメと言われていることは
守らないといけませんが
いろんな観念に触れることで
その子が何を自分の中に取り入れるのかは
その子どもの選択次第です。
私たち大人、親は
子どもに影響を与える存在ですが
子どもをコントロールすることはできません。
子どもを親の思い通りに育て上げることが
親としての責任を取ることではありません。
子どもが自分らしさを
作り上げていける環境を用意することが
親としての責任ではないかなと思います。
我が子は親が満足するための
道具ではないことを
自覚してほしいと思います。
子どもが失敗しても
困った行動を起こしても
子どもは学んでいる最中です。
そこで、親が責任を感じる気持ち
完璧主義を手放すことができると
育児は楽になります。