コミュニティーナースの石鍋てるみです。
今、高市早苗首相が持っているバッグが
『早苗バック』として注目されていて
注文が殺到しているというのを
新聞記事で見ました。
お値段は13万6400円ということです。
「浜野皮革工芸」という
老舗メーカーということですので
職人さんが手作業で仕立てている
素敵なバッグのようです。
日本の職人さんが
丁寧に作っている品物は
高価なのは当然です。
むしろ、お手頃価格なのでは?
それでも、私にとっては高価で
手が出ません。
世の中には、同じものをすぐに注文できる方が
たくさんいらっしゃるということがわかり
まだ、幸せな国だなと思います。
ニュースで高市首相を見ても
私には持っているバッグなんて
目にも止まりませんが
よく見ている人っているものですね。

そういえば、私の知人でも
ドラマを観ていて
主人公が使っているお財布や洋服と
同じものを買ったと
話していた人がいたことを思い出しました。
私は、同じドラマを観ていても
そこには全く興味がないので
どんな財布だったのか知るわけもなく
「そうなんだ〜」としか言えませんでした。
同じ映像観ていても
同じものを見ているとは限りません。
同じ場所にいても
自分と同じ経験を
誰もがしているわけではありません。
当然、感じ方も違います。
今はそれが当然と思えるのですが
若い頃は、そこが腑に落ちてなかったです。
自分の考えの方が当たり前だし
正当だってどこかでこだわっていました。
「私の方が正しい、みんながそう思うはず。」
その考えを手放せたのは
家族を持ってからでした。
子どもが小さい時に
夫が休みのたびに山登りに連れていくことが
ブームの時がありました。

夫がその頃登山や写真に
ハマっていたこともあって
子どもたちに自然を経験させたいという
気持ちももちろんあったでしょうが
私から見れば夫が
自分の趣味に付き合わせただけに見えてました。
乗り気でない私が抵抗すると
途端に夫が不機嫌な態度になるのが
その証拠に思えました。
毎週のようにこれが続くと
週末が本当に苦痛な時がありました。
山に登っての気持ちよさよりも
小さい子どもを3人連れて出かける
準備、移動、帰宅後の片付けが大変で
しかも、仕事が休みの土日が
潰れてしまうことで私にとっては
自分のやりたいことがやる時間が
なくなってしまうという
不満の方が貯まるイベントでしかなくなっていました。
子どもがある程度大きくなってくると
行きたくないっていう子も出てきました。

家族で旅行していても
どう感じるかどうかはそれぞれです。
楽しいと感じる人もいれば
めんどくさいと思う人もいる。
家族で出かけるなんて恥ずかしいという人もいる。
それを言うと夫がまた不機嫌になるというのも
苦痛の種でした。
家族みんなで山登りに行くという
一見楽しそうなイベントでも
家族それぞれに感じるものが違っています。
家族だからということが
無意識に同じ価値観であるはず、
同じでなくてはいけないという思い込みに
縛られて苦しくなることが多くなります。
家族だから、夫婦だから、女だから
嫁だから、妻だから、親だから、
友達だから、親戚だから
同僚だから、日本人だから・・・。
たくさんの〇〇だからに
思考を縛られて動けなくなってしまうことって
若い頃ほど持っていたような気がします。
今振り返れば、この〇〇だからを
この時期にたくさん捨ててきたなと思います。
徐々に無理してまでも
家族全員で出かけることをしなくなりました。
自分の大事な時間を優先して
取る覚悟を決めました。
いい選択だったかどうかはわかりませんが
少なくとも、揉め事は少なくなったと思います。
13万のバッグを持って大活躍する女性を見て
自分も同じものが欲しいと思う人がいてもいいし
そういう振る舞いをする人も
非難することもありません。
若い頃の私だったら
あれこれ買えない理由を並べ立て
高価なものを身につける人を
心の中で非難していたかもしれません。
今は、「そうなんだ」って思うだけです。
思考が単純になるので
頭の中がモヤモヤしません。
子どもが自分の思い通りにならなくても
夫が不機嫌になっても
いちいち悩まない。
そうなることはあると認めるだけです。
だって、同じ出来事に出会ったとしても
自分とは違うものを見て感じているのだから
それは仕方ないこと。
こう思えるようになってから
人生ずいぶん楽になりました。
